これは著者がPMBOK関連の学習時のインプットした情報をメモとして残したものです。メモが誰かの参考になれば幸いです。
プロジェクトの基本#1
プロジェクトの定義・要素
独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有機性のある業務
※所産=プロジェクトの結果
プロジェクトとは、依頼者の要望に基づいて製品やサービスを提供する活動を指します。つまり、プロジェクトとは、特定の目標を達成するために計画され、実行される業務の一環です。
プロジェクトの大きな特徴の一つが「有期性」です。これは、プロジェクトには開始日と終了日が明確に定められていることを意味します。つまり、プロジェクトは永続的な活動ではなく、期限内に完了させることが求められます。また、プロジェクトは依頼者の要望に合った「独自性」のある成果物を提供することが目的です。製品やサービスは一律ではなく、そのプロジェクトにおいて特別に設計・開発される点が特徴となります。
プロジェクトマネジメントの方法論:PRINCE2
PRINCE2(プリンス・ツー)は、プロジェクト管理の手法の一つであり、その特徴的な点として、役割分担が明確であることが挙げられます。具体的には、エグゼクティブ、プロジェクトマネージャー、チームマネージャーのそれぞれの業務範囲がはっきりと定義されているため、プロジェクトの進行がスムーズかつ効果的に行われます。
また、PRINCE2では、「いつまでに何を作成するのか」というスケジュール管理に加えて、以下の3つの要素がプロジェクトに重要な役割を果たします。
1. 機能横断(プロジェクトの体制)
プロジェクトは、異なる部門や専門分野からメンバーが集まる「機能横断型の体制」で構成されます。これにより、プロジェクト全体が多角的な視点で進められ、専門知識を活かした効率的な運営が可能となります。
2. リスク
PRINCE2では、リスクは「プロジェクトに影響を与える可能性のある、発生が不確実な事象」として定義されます。リスクの管理はプロジェクトの成功において極めて重要であり、潜在的な問題に対して早期に対応するための計画を立てておくことが求められます。
3. 変化
プロジェクトを進める過程で、依頼者の要望に基づいてプロダクトを提供する際に、依頼者の組織に影響を与えることがあります。これをPRINCE2では「変化」と呼び、プロジェクトの進行中に起こりうる依頼者側の状況変化やニーズの変化に柔軟に対応することが重要とされています。
定常業務
正式なプロジェクトマネジメントのスコープ外にある業務であり、商品やサービスの継続的な生産に関係している業務
企業活動には大きく分けて2つの重要な業務があります。それが「定常業務」と「プロジェクト」です。この2つは異なる性質を持ちながらも、企業の成長と安定を支える重要な要素となっています。
定常業務とは?
定常業務とは、日々行われるルーチンワークのことを指します。原則として、その業務内容は明確であり、社内業務がスムーズに進行するよう支える役割を果たします。定常業務は、企業の毎日の売り上げを確保し、組織が安定して運営されるためには欠かせない存在です。
この業務は、例えば商品やサービスの提供、顧客対応、在庫管理、経理処理など、企業が日常的に行う基礎的な活動が含まれます。定常業務が滞ると、社内の流れが止まり、最終的には収益にも影響を与えるため、これらの業務を適切に管理し、遂行することが企業の存続にとって重要です。
プロジェクトとは?
一方で、プロジェクトは、将来的な収益や成長を見据えた特定の目的を達成するために実施されます。プロジェクトの特徴は、決まった期間内に成果物を作成すること、そしてその成果物が企業の発展に寄与することです。プロジェクトは、定常業務とは異なり、始まりと終わりが明確に設定され、期限内に目的を達成することが求められます。
プロジェクトが成功すると、例えば新しい製品やサービスが生まれたり、新たなビジネスモデルが導入されたりします。この成果物が、企業の将来性や収益性を確実なものにするため、しばしばサポートやメンテナンスといった追加的な業務が必要となることもあります。
プロジェクトの成果は定常業務へと転換
成功したプロジェクトの成果物は、企業の新たな定常業務の一部となることがあります。例えば、新製品の開発プロジェクトが完了すれば、その製品の販売やサポートは日常業務となります。これにより、プロジェクトで生み出された価値が企業の日々の運営に組み込まれ、さらに企業全体の収益に貢献していくのです。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトの要求事項を満たすために、知識、スキル、ツールと技法をプロジェクトの活動に適用すること
プロジェクトを成功に導くためには、計画的かつ効率的に業務を進めることが不可欠です。そこで重要なのが、プロジェクトマネジメントです。この記事では、プロジェクトマネジメントの基本と、その中で特に重要な3つの制約条件について解説します。
プロジェクトマネジメントとは?
プロジェクトマネジメントとは、意図した成果を達成するために、プロジェクト作業を効果的に導く活動を指します。この活動には、過去の業務経験から得た知識やスキル(ノウハウ)が活かされるだけでなく、さまざまなツールや技法が用いられます。
具体的には、以下のような手段がプロジェクトを進める際に活用されます:
- 計画書:プロジェクトの進行を正確に管理するための指針。
- 日程表:タスクやマイルストーンを明確にするためのスケジュール。
- 進捗・予算管理方法:プロジェクトが計画通りに進んでいるかを確認するためのツール。
- 会議:進捗状況や問題点を共有し、次のステップを決定するためのコミュニケーション手段。
これらの要素を組み合わせて、プロジェクトを計画・管理し、成果物を効果的に開発していくプロセスがプロジェクトマネジメントです。
プロジェクトの3大制約条件:納期、スコープ、コスト
プロジェクトマネジメントにおいて特に重要視されるのが、納期、スコープ、コストの3つです。これらは「プロジェクトの3大制約条件」と呼ばれ、バランスを保つことがプロジェクトの成功に直結します。一般的には、QCD(Quality、Cost、Delivery)とも呼ばれます。
- 納期(Delivery)
プロジェクトが完了すべき期限、つまり成果物がいつまでに提供されるかを指します。納期に遅れが出ると、他の制約条件にも影響を与え、プロジェクト全体に悪影響を及ぼす可能性があります。 - スコープ(Quality)
プロジェクトで達成すべき目標や、作成する成果物の範囲を指します。スコープが明確でないと、プロジェクトの進行が不安定になり、納期やコストに悪影響を及ぼすことがあります。 - コスト(Cost)
プロジェクトにかかる予算のことです。コストが膨らむと、企業全体の利益に影響を与えるため、効率的な予算管理が必要です。
プロジェクトの成功には、これら3つの制約条件のバランスを保ちながら、計画通りに進めていくことが求められます。例えば、納期を優先するとスコープやコストが犠牲になることがあり、逆にスコープを厳守しようとすると納期が延びたり、コストが増大することがあります。適切なバランスを保ちながら進行することが、プロジェクトマネジメントの腕の見せどころです。
プログラム
調和の取れた方法でマネジメントされる、関連するプロジェクト、サブプログラム、プログラム活動。個別にマネジメントしていては得られないベネフィットを実現する
企業や組織の成長に伴い、複数のプロジェクトが同時並行で進行することが一般的です。これらのプロジェクトを個別に管理するだけではなく、全体としての整合性やバランスを保つために必要なのが「プログラムマネジメント」です。
プログラムとは?
プログラムとは、複数のプロジェクトの集合体を指します。これらのプロジェクトは、それぞれが独立した目標を持ちながらも、最終的には共通のビジネス目標を達成するために相互に関連しています。プログラムは、個別のプロジェクト以上に大きな目標を達成するために策定され、その成果は全体としての組織の成長や成功に直結します。
プログラムマネージャーの役割
プログラムマネージャーは、このプログラム全体を管理する責任者です。彼らの主な役割は、複数のプロジェクトが同時に進行する中で、各プロジェクトのバランスを保ちながら、全体の進行を管理することです。個々のプロジェクトが単独で成功しても、プログラム全体の目標を達成しなければ、組織にとっての本当の成功とはなりません。
プログラムマネージャーに求められるスキルには以下が含まれます:
- プロジェクトの調整:各プロジェクトの進捗状況やリソースを調整し、競合や無駄がないようにする。
- リスク管理:各プロジェクトが抱えるリスクを把握し、全体のプログラムに与える影響を最小限に抑える。
- コミュニケーション:プロジェクトマネージャーや他のステークホルダーと効果的に連携し、情報共有を行う。
- バランスの維持:個々のプロジェクトが時間や予算の制約を守りつつ、全体のバランスを崩さないよう管理する。
プログラムマネジメントの重要性
プログラムマネジメントの目的は、単にプロジェクトを進行させるだけではありません。全体のプロジェクトがうまく連携し、最終的に一貫した成果を出すことが求められます。例えば、Aプロジェクトの遅延がBプロジェクトの進行に影響を与える場合、プログラムマネージャーはその影響を最小限に抑えるための調整を行わなければなりません。
また、各プロジェクトの成功だけではなく、プログラム全体としての価値創出が目指すべきゴールです。このため、プロジェクト間でのリソース配分や優先順位の調整が非常に重要になります。
本頁まとめ
まとめると、プロジェクトは、依頼者の要望に応じた独自の成果物を期限内に提供する業務であり、PRINCE2などの手法でリスク管理や多角的な視点を取り入れて進行します。また、複数のプロジェクトを調和させる「プログラム」では、全体の効率と成長を図り、企業活動を支える重要な要素となっています。
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